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2024.02.29

お腹を切らずに治せる ”早期大腸がん”


健康は365日のつみかさね
消化器内科より
まほろば 2019年10月号掲載


お腹を切らずに治せる
『 早期大腸がん 』


 近年、内視鏡検査が普及し、内視鏡の性能向上により早期の大腸がんが多く発見されるようになりました。また、内視鏡治療においては、早期胃がんの内視鏡切除を目的に開発された医療技術「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」が開発され、従来は外科的治療が必要とされていた早期胃がんも内視鏡で治療することが可能となりました。内視鏡治療の特徴は、お腹を切らないため回復が早く、消化機能に障害を残さず、全く元の生活に戻れることです。そして、現在ではこの治療法が大腸がんにも適応されることになりました。

マーキング
内視鏡を大腸の中に入れ、病変の周囲に切り取る範囲の目印をつける
局注
粘膜下層に薬剤を注入して浮かせた状態にする
切開
マーキングを切り囲むようにナイフで病変部周囲の粘膜を切る
粘膜下層の剥離
専用ナイフで病変を少しずつ慎重に剥ぎ取る
切除終了
ナイフを使って最後まで剥離する。または最後にスネアで切り取る
止血
切り取ったあとの大腸の表面に止血処置を施し、病変部を回収(病理検査へ)


 大腸は胃に比べて内壁が薄く内視鏡の操作も難しいため、ESDを施行するのは困難とされてきましたが、新しい治療器具の開発により早期大腸がんの治療を可能にしました。しかし、がんが進行してしまった症例は内視鏡での治療が困難なため外科的手術や抗がん剤を用いた治療が必要となり、身体への負担は大きくなってしまいます。大事なことは「早期発見」、「早期治療」であることは言うまでもなく、怖がらず積極的に検診や精密検査を受けるように心がけることです。


 大腸癌研究会では大腸癌の進行度別の生存率を調査したデータを公表しており、これによると早期がんを指す「ステージⅠ」であれば、治癒の目安となる「5年生存率」も90%以上ですが、ステージが進行するとともに生存率は低くなり、最も進行した「ステージⅣ」では20%以下にまで低下してしまいます。いかに早期発見、早期治療が重要になるを示すデータです。便潜血検査で陽性が出た場合や、大腸に関連する症状がある場合は内視鏡検査を受けることはもちろん、症状がない場合でも定期的な内視鏡検査を受けることが大腸がんのリスクを軽減することにつながります。


 早期の大腸がんは症状があらわれにくく、自覚症状がある場合は病状がかなり進行している可能性があります。自覚症状がなくても定期的に健診を受けることそして、精密検査が必要な場合には積極的に大腸内視鏡検査を受け大腸がんを早期に発見することが大切です。


気になる症状がある場合は消化器内科までご相談ください。

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