食欲がない(食欲不振)

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食欲がない(食欲不振)

食欲不振とは、食べ物を見ても食欲が湧かない、食事の量が減る、少し食べただけで満腹になってしまう などの状態を指します。疲れやストレス、気温の変化などが影響し、一時的に食欲が落ちることは誰にでもあります。しかし、 食事をしても満足感が得られない、好きな食べ物すら食べたくない状態が続く場合、単なる体調不良ではなく、何らかの病気が関与している可能性があります。
特に、2週間以上食欲不振が続く、体重が減ってきた、発熱や吐き気、倦怠感など他の症状を伴う 場合は、体が発するサインかもしれません。こうした変化を「年のせい」「疲れているだけ」と放置せず、食事の楽しみが薄れている と感じたら、一度医療機関で相談することをおすすめします。

食欲が低下する原因

食欲不振の原因はさまざまですが、大きく以下のようなものがあります。

 
  • 環境や生活習慣にるもの
    暑さ・寒さによる自律神経の乱れ、疲れやストレスによる胃腸の機能低下により食欲が低下する
  • 精神的な要因
    気分の落ち込みや睡眠の乱れを伴う場合、精神的な要因が関係していることがあります。
  • 消化器系の異常
    胃の痛みや膨満感を伴う場合は、消化器系の病気の可能性が考えられます。
  • 感染症や全身疾患
    発熱や倦怠感を伴う場合は、感染症や慢性疾患の影響も疑われます。

高齢者の食欲不振は様々なリスクを伴う

高齢者では、加齢に伴う味覚や嗅覚の変化、消化機能の低下により、食欲不振が起こりやすくなります。また、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)の機能低下により食事がしづらくなることも影響します。
さらに、高齢者はストレスを感じにくく、うつ症状があっても気づきにくいため、食欲不振が精神的な要因によるものであることに気づきにくい場合があります。体重減少が進むと、筋力低下や免疫力の低下を引き起こしやすくなるため、特に注意が必要です。

食欲不振で疑われる主な病気

1.消化器系の疾患

胃炎・胃潰瘍 胃の粘膜が傷つき、炎症が生じることで、胃の痛みや不快感を引き起こします。特に、ピロリ菌感染やストレス、過度なアルコール摂取、刺激の強い食べ物(辛いもの、塩分の多いもの)などが原因となることが多く、胃の違和感が食欲の低下につながります。食後にみぞおちの痛みを感じる場合や、胃もたれが続く場合は注意が必要です。
逆流性食道炎 胃酸が食道へ逆流することで、胸やけや喉の違和感、酸っぱい液がこみ上げるなどの症状が現れます。脂っこい食事やアルコールの摂取、食べ過ぎ、寝る前の飲食が悪化要因となり、食事そのものが負担に感じられるようになります。特に、食後に胸の奥が熱く感じる、横になると症状が悪化する場合は、この疾患の可能性があります。
胃がん・食道がん 腫瘍が胃や食道を圧迫することで、食事量が減り、食欲が低下することがあります。初期には自覚症状が少ないことが多く、「最近少し食べただけで満腹感を感じる」「食事の量が自然と減った」「体重が急に落ちた」といった症状が現れる場合は、早めの検査が推奨されます。
慢性膵炎・肝疾患 消化酵素の分泌異常や肝機能の低下によって、食べ物の消化がスムーズに行えなくなるため、食欲不振が生じます。膵炎では、食後の腹痛や背中の痛みが特徴的で、特に脂っこい食事で症状が悪化しやすいです。一方、肝疾患(脂肪肝・肝硬変・肝がんなど)では、全身の倦怠感や黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、腹部膨満感が伴うことがあり、食欲不振とともにこれらの症状がある場合は、肝機能の検査を受けることが望ましいでしょう。

2.感染症や全身疾患

風邪やインフルエンザ 発熱やのどの痛み、倦怠感が強くなることで、一時的に食欲が低下します。免疫機能が活性化して体内でウイルスと戦っているため、消化器の働きが抑制されることが主な原因です。
糖尿病 血糖値のコントロールが乱れることで、食欲が低下することがあります。特に高血糖の状態が続くと、細胞がエネルギー不足になり、極度の倦怠感とともに食欲不振を引き起こすことがあります。逆に、低血糖が続くと、異常な空腹感を感じることもありますが、「食べていないのに体重が減る」「疲れやすい」と感じる場合は、血糖値の検査が必要 です。
甲状腺機能低下症 甲状腺ホルモンの分泌が減ることで、基礎代謝が低下し、食欲が減退します。通常、甲状腺ホルモンはエネルギー代謝を調節する重要な働きを持っていますが、この機能が低下すると、体全体の活動レベルが落ち、食事の必要性を感じにくくなります。特に、手足の冷え、むくみ、便秘、全身の倦怠感を伴う場合は、この疾患の可能性を考慮する必要があります。
悪性腫瘍(がん) 腫瘍が体内で成長する過程で慢性的な炎症が続き、代謝異常が生じることで食欲が低下します。特に、短期間で体重が急激に減少する、極度の疲労を感じるといった症状を伴う場合は、重大な疾患が関係している可能性があるため、早めの医療機関受診が推奨されます。

3.精神的要因・神経疾患

風邪やインフルエンザ 発熱やのどの痛み、倦怠感が強くなることで、一時的に食欲が低下します。免疫機能が活性化して体内でウイルスと戦っているため、消化器の働きが抑制されることが主な原因です。
うつ病 脳内の神経伝達物質(セロトニン、ドーパミン)のバランスが乱れることで、食欲を減少させることがあります。特に、「何を食べても美味しく感じない」「食事をする気力がわかない」「食べること自体が面倒」という状態が続く場合は、精神的な要因が関係している可能性が高いです。食事の量が自然と減り、栄養不足が進行すると、さらに体力が落ち、気分の低下が加速する悪循環に陥ることもあるため、早めに心療内科や精神科に相談することが重要です。
不安障害やストレス 強いストレスや緊張が続くと、交感神経が過剰に働き、胃腸の働きが抑えられるため、食欲が落ちることがあります。例えば、「緊張するとお腹が痛くなる」「ストレスがかかると食事が喉を通らない」 という経験がある人も多いでしょう。慢性的にストレスを感じていると、胃が締め付けられるような感覚や吐き気を伴うこともあり、結果として食事の回数や量が減ることにつながります。こうしたケースでは、リラックスできる環境を整えたり、適度な運動を取り入れたりすることで、症状が緩和されることもあります。

次のような場合は医療機関を受診をしましょう

  • 2週間以上食欲不振が続いている
  • 体重が減少している
  • 胃の痛みや膨満感がある
  • 発熱や倦怠感が続く
  • 気分の落ち込みや不安が強い
  • 薬を服用し始めてから食欲が低下した

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